まだ見ぬあなたへの手紙

きょうも、まだ見ぬ未来のあなた様すなわち裁判官様(以下「あなた」という。)の心証を推し量り、どうしたら私と私の属する法人(以下これらを総称して単に「私」という。)の気持ちをわかってくださるか、私にいいように取り計らってくださるかを思い、私の手紙を何度も何度も書き直しています。
あなたに私の気持ちを認めてもらうためにはたとえ、時間をかけて「または」を「又は」に統一する等の一見無意味と思われるような労苦も惜しみません。
でも私は知っています。あなたが私の手紙を読むことは私の失敗であるということを。そして私の手紙の内容をどうするかより、雄弁な人が私と同じ思いをどう語るかの方が何倍も大事だということも。それでも私はあなたへの手紙をきょうも書き直しています。