ジャリ

夜、よく考えたらやはり自分ひとりの存在なんてものはジャリの何億分の一粒くらいだ、と考えていたら、開け放しの窓の向こうから女の子の咳が聞こえてきた。とてもかわいい咳だ。イヤラシイな俺おい。
一服がてらベランダに出る。今夜は星も見えないのでいよいよ一服だけになる。俺も咳が出る。マイルドセブンの煮詰まった味のするいやな咳がでる。
地上6階から夜空を眺めて、その下にいっぱいいるジャリのことを考える。テレビの中で死んでる人と自分を比較衡量してまだ自分が死ななくてよかったな、なんて思うのはいやだ、どっちもどうせジャリの一粒だ、なんていう感じのことを考える。が、残念ながらそんな思考をすべきたいそう偉い思想家でもないと思う。やっぱり所詮ジャリの一粒だ。あ、ついでにこれのインスピレーションをくれたのはナカイです。