ぎんなん中毒

先日の日記にぎんなんをめちゃくちゃ食ったことを書いた直後にネットで調べたら「ぎんなん中毒」なるものがあるらしく、数時間後にケイレンやまれに死に至るというのでやべーよやべーよ恐れおののいていたが、その日、症状は出なかった。
しかしもう少しマクロな意味でぎんなん中毒になってしまったようだ。
あれから俺は、気づけば自営業八百屋を回ってぎんなんを買おうとしていた、が、高かったのであきらめた。聞けばツダジュクの近くで安く直売しているらしかったが出かける気にならなかった。
そして今夜寮の近辺を歩いていたところ、足元でプチッ!とぎんなんの割れる音!!!
これだ。イチョウの木の下にはほんとうに落ちているものなのだ。
と、とりあえず上着のポケットに詰めるだけ詰めて持ち帰る。そしてナカイを労働力に深夜怪しげな2人でぎんなんの果実を集めまくる。
ウメボシのようなぎんなんの実を大量に集めたはいいがまだこれではいわゆるぎんなんではない。ウメボシからウメボシの種だけを取り出す作業をしなければならない。しかもこのウメボシはとんでもなく臭い。
かくして俺は寮の6階のベランダで第一次産業に従事することになったのである。自炊をする大学生はこの世間に数あれど、農大生でもないのに食料を自ら調達する大学生があろうか!
297個もの臭いウメボシをひとつひとつ、果肉を剥がしてゆく。うう、だるい。何か、昔ばあちゃんがなぜか「ほっ、ほっ」と言いながらせっせと農作物を何かしていたのに似ている作業。
そういえばこういう、いかにも目的合理的でないロクでなし作業が俺は好きだ。中学から高校に上がる春休みのときも、俺は漢和辞典を1ページずつめくりながら漢字の新旧字体対照表を手書きで作っていた。
いやでもすごいな、イチョウの木というのは水と土と光からこんな実をつくるとはな。
1時間ほどかかって取り出したウメボシの種をお湯で洗うと

297個です。
乾かすか。新聞紙に広げると

やはり297個です。部屋がものすごく香ってます。
さてそのうちの10個を焼いて食べる。ううむ濃厚な味だ。